やはりジムとしてはスルーする訳にいかないので、美濃巧人の計量失敗に触れさせて頂ければと思います。
忘れかけてたことを蒸し返させてしまう程の時が経つ前に書くべきでしたが、言うべき言葉が整理出来ず、投稿が遅れてしまったことをまず謝罪させて下さい。
ごめんなさい。
翌日に計量を控えた深夜、会長に美濃巧人のご家族から「巧人が全身痙攣を起こしてますが、病院に行くべきですか❓」とLINEがありました。
脱水、塩分不足から全身が痙攣してしまった様です。
それを聞いた会長は、相手選手の立場や楽しみにしてチケットを買って下さったお客さまのことが頭をよぎったのか、珍しく動揺した様子でした。
病院に行けば多量の点滴を打つことで体重は大増量、計量失敗からの試合の棄権が決定的になります。
それでも命に別状があってはいけないので即座に苦渋の決断を下し、その時点で我々は失格者になりました。
報告を横で聞いてた私も溢れ出しそうな程、色んなことが頭を駆け巡りました。
人は塩分が不足すれば、手足が痺れます。
格闘技界では最近【水抜き】といって、毎日6Lもの水を飲むことで通常よりも水分を排出しやすくして、減量の後半に塩分と水分を抜く、といったやり方が流行しています。
以下は【水抜き】が分かりやすく説明されてるリンクです👇
https://www.news-postseven.com/archives/20210302_1638618.html?DETAIL
水抜きに対する正しい知識がなかった、知見が浅かったこと、緻密な設計が出来ない環境でやった素人判断での減量が失敗を招いたことは疑う余地がありません。
美濃巧人は脱水と急性腎不全になり、あと一歩で入院というところまで体に負担を掛けてしまいました。
ダイエットでなくアスリートの減量は、いかなる方法でも体への負担が大き過ぎる為に普段からはやらないもので、ある程度ぶっつけ本番(試合前)でやるしかないけど、体質に合うかどうか分からない他の人が成功した内容で自分が失敗しない根拠はありません。
なのに安易に真似をしてしまった、それをジムが容認してしまったことに全ての原因があると自認しています。
しかしワクチンの副反応が千差万別である様に、どんな減量方法も(もちろん水抜きも)体に合う人は確かに存在するので、その成功事例が注目されて現在があります。
美濃巧人も含め、試合をする格闘家はプロです。
彼らは自らを商品として取り扱う個人経営者(社長)であり、唯一の商品はベストコンディションの俺です。
計量=納品(俺)と言っても良いでしょう。
プロとしての最優先事項は、決められたサイズの体を決められた期日にきちんと納品することです。
しかし、プロである筈の所属選手にさえ約束を守らせることが出来なかった、正しい知識を伝えきれなかったマネージャーの私には監督不行き届きの責任があります。
会長はもちろん、一緒に練習していた周りのプロ達やトレーナーに至っても全くの無関係とは言えないでしょう。
マンモス和則選手も美濃巧人もとても人気があり、彼らの試合を何ヶ月も楽しみにしていた方は大勢いらっしゃったので、彼らに対する裏切り行為は決して許されるものではないと思います。
まして今回、マンモス選手はラストマッチのつもりだったとのこと。
彼はキツい減量で倒れて顔を7針も縫う怪我を負ったにも拘らず、死ぬ気で体重を作ったのに、最後をこんな形で終わらせてしまったこと、契約に対する不履行は、謝ったところで到底足りるものではありません。
それなのに彼は「相手は倒れるまでやったから俺は許す、次回はきっちりやって勝ってください」と、自分の方が辛いのに再起の許可を下さいました。
私も美濃巧人には、ここでキャリアを終えるのはあり得ない旨を伝えました。
現役を続けて欲しくて言ってるのではありません。
一番厳しいペナルティが、逃げずに現役を続行することだと判断したからです。
もちろん、これを繰り返すならプロで居続けることを容認することは出来ません。
ジムとしましては美濃巧人にラストチャンスを与えると同時に、彼と一緒に恥と責任を背負い、信用回復に奮励努力していく所存です。
この度、多大なるご迷惑をお掛け致しました、マンモス和則選手と中日ジムの東会長並びにトレーナーや関係者の皆さま、試合を観戦する為にチケットを購入し、予定を空けて下さった大勢のファンの皆さまに、この場をお借り致しまして心よりお詫び申し上げます。
本当に申し訳ございませんでした。
2022.03.29.
とよはしボクシングジム
マネージャー/富永亜紀子